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 K・YAMADA

Author: K・YAMADA


高校卒業以来、鍼灸の世界に入って、日々診療に従事しています。
2002年に岐阜市にて、鍼灸治療専門の「東生治療院」を開院。
・全日本鍼灸学会認定者


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サプリメントで子どもの身長は伸びるか

パクリです。

『【 サプリメントで子どもの身長は伸びるか】

サプリメント利用する子どもは増加傾向

 健康食品・サプリメント市場の推定市場規模は、2015年度1兆5785億円で、調査が始まった13年から市場の拡大傾向が続いています。また、利用者数も5758万人と、既にOTC薬の市場規模を大きく凌駕しています。こうした中、成人だけでなく小児を対象としたサプリメントも近年流通してきました。

 少し古いですが、09年に国立健康栄養研究所から、小児の15%が、粉末・液体・カプセル・錠剤・タブレット・エキス形態のいずれかのサプリメントを利用した経験があるとのデータが報告されています(図1)1)。このうち5.1%は日常的にサプリメントを服用していました。

    thumb_548788_zu1.jpg

図1 サプリメントを摂取している小児の割合(文献2のデータから作成)

 では、お子さんはどんなサプリメントを摂取しているのでしょうか。最も多いのは、ビタミンやミネラルを含んだサプリメントで、67.5%を占めています(図2)。次に多いのが、魚油、いわゆるDHAやEPAなどの脂肪酸で、ビタミンとミネラル以外のサプリメントのうち44.6%を占めています。また、キシリトール、プロテイン、ハーブ、酢(健康酢)などもよく使われています。

     thumb_548788_zu2.jpg


図2 小児が摂取しているサプリメントの種類(文献2のデータから作成)
左図はビタミン・ミネラルとそれ以外の割合。右図はビタミン・ミネラル以外の詳細


さて、このお父さんが相談された、「子どもの身長を伸ばすサプリメント」の主成分はアルギニン、いわゆるアミノ酸です。下垂体前葉から分泌される成長ホルモンは視床下部由来のソマトスタチンにより抑制されています(図3)。アルギニンはソマトスタチンの分泌を抑制することで、成長ホルモンの遊離を亢進するといわれています2)。アルギニンは成長期に不足するので、小児期では必須アミノ酸となっています。アルギニンをたくさん摂取すれば、それだけソマトスタチンの分泌が阻害され、成長ホルモンが分泌されるようになるので、身長が伸びるというロジックです。

    thumb_548788_zu3.jpg

図3 成長ホルモンの調節機構(文献3を参考に作成)

アルギニンの発育への有効性を示す報告はない
 では、人でアルギニンの発育への効果は証明されているのでしょうか。前出の国立健康・栄養研究所のウェブサイトにある、健康食品の素材データベースのアルギニンに関する項目を見てみましょう3)。そこには、アルギニンの「骨・筋肉」および「発育・成長」への有効性を示した報告はないと書かれています。

 実際に、13年に日本小児内分泌学会も、「『身長を伸ばす効果がある』と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解」を公表し、その中で、「『成長ホルモン分泌促進薬』が効くとは全く考えられない」と否定しています4)。

 この見解では、効果について否定的と考える2つの理由が説明されています。1つ目の理由は、用量や吸収率の観点から、効果に疑問符が付くことです。アルギニンは、成長ホルモンが正しく分泌されているかどうかを調べるための「成長ホルモン分泌刺激試験」において、成長ホルモンの分泌を刺激する薬として用いられますが、その際、使用される薬の量は、500mg/kgという高用量で、しかも点滴で投与されます(体重30kgであれば15g)。つまり、アルギニンをサプリメントとして同じ量、経口摂取しても、吸収や代謝を考慮すると、ごく一部しか視床下部に到達しない可能性が考えられるのです。

 否定的と考えられるもう1つの理由は、理論上は成長ホルモンの分泌を刺激する物質を摂取しても、実際に効果が得られるとは限らない点です。実際に、過去に成長ホルモンの分泌刺激作用を持つ薬(スプレー製剤)の開発が試みられたことがありますが、効果が得られなかったことが明らかになっています。

 アルギニンは日常的に摂取しているアミノ酸なので、比較的安全であるとも言えますが、冒頭のような質問を受けたら、効果については科学的に証明されているわけではないことを、患者さんに分かりやすく伝えたいものです。

 かかりつけ薬剤師や健康サポート薬局の制度がスタートし、健康食品やサプリメントについての薬局で相談を受ける機会は、今後ますます増えていくと思われます。薬局で、健康食品やサプリメントに関する問い合わせを受けたら、有効性や安全性、相互作用などの情報が網羅されている国立健康・栄養研究所サイト内の「『健康食品』の安全性・有効性情報」が参考になります。

 サプリメントを利用しているお母さんほど、お子さんにもサプリメントを飲ませていることが分かっています。投薬中にお母さんがサプリメントを使っていることが分かったら、「お子さんもサプリメントを飲まれていませんか?」とぜひ聞いてみてください。

【参考資料】
(1)J.Nutr. Sci. Vitaminol.2009;55:317-25.
(2)『病気がみえる3 糖尿病・代謝・内分泌(第3版)』(メディックメディア、2013)
(3)国立健康・栄養研究所ウェブサイト「『健康食品』の素材情報データベース」
(4)日本小児内分泌学会ウェブサイト「『身長を伸ばす効果がある』と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解」(2013年3月29日)


(2016.11.4 松本康弘の「極める!小児の服薬指導」  メディカルオンラインより転載 』


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